西石垣友里子さん|島の木と、時間を重ねて。
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ガジュマルに、もう一度命を
沖縄の各地で、長い年月をかけて育ってきた木々。
台風で倒れてしまった木や、公共事業によって伐採された木。そんな島の木々を使い、作品を生み出しているのが、木工作家の西石垣友里子さんです。

西石垣さんが大切にしているのは、沖縄の風土の中で育った木を使うこと。
なかでも主に使っているのが、ガジュマルです。
複雑にうねる幹や枝、力強く広がる根。沖縄のあちこちで見かけるガジュマルには、どこか不思議な魅力があります。
こちらでご紹介する大きな花器も、首里城近くで伐採されたガジュマルから生まれたもの。
長い年月をかけて育った木が、西石垣さんの手によって新たな姿となり、今度は誰かの暮らしの中へ。
木が歩んできた時間も一緒に受け継いでいくような、そんなものづくりです。
自然が描く模様を、待つ
西石垣さんの作品づくりには、ゆっくりと流れる時間があります。
伐採された木をすぐに削り始めるのではなく、まずは2〜3年ほど寝かせて、じっくりと乾燥。その間に、木肌に独特の模様「スポルテッド」が現れることがあります。スポルテッドと呼ばれるこの模様は、複雑な線や色の濃淡が重なり合い、まるで自然が描いた絵のよう。
人の手ではつくり出せない、偶然から生まれる美しさです。
長い時間をかけて育った木に、さらに数年の時間を重ねることで、ひとつとして同じもののない表情が生まれます。
西石垣さんは、そんな自然が生み出す模様も、作品の大切な個性として生かしています。

木の表情を、そのままに
西石垣さんの作品を眺めていると、木がもともと持っていた形と、手仕事によって生まれた形が、心地よく重なり合っていることに気づきます。
ゆったりとした曲線や、あえて残された木肌。光の当たり方によって浮かび上がる、ひとつひとつの彫り跡…。
大胆でのびやかな造形の中に、木の自然な表情が息づいています。
同じ種類の木でも、形や木目、色合いは一本一本異なるもの。
西石垣さんは、その木が持つ個性を見つめながら、どこを削り、どこを残すのかを考えていきます。
すべてをきれいに整えるのではなく、木がもともと持っている魅力を大切にすること。
自然がつくり出した形に、西石垣さんの手仕事が重なって、その木だけの作品が生まれていきます。


暮らしの中で、木とともに
西石垣さんの花器は、何も生けずに、そのまま飾っておきたくなるような佇まいも魅力です。
木肌に広がる模様や、彫刻のような美しい曲線。
窓辺に置いてみたり、お気に入りの棚に飾ってみたり。
季節のドライフラワーをそっと添えるのも素敵です。
眺める角度や光の入り方によって、また違った表情を見せてくれます。

そして、木は作品になったあとも、湿度を吸ったり放出したりしながら、少しずつ変化していく素材。
まるで呼吸をしているように、周りの環境とともに生きています。
風通しのよい場所で、木の性質ともゆっくり付き合いながら、長く楽しんでいただけたらと思います。
沖縄の風土の中で育ち、さまざまな時間を重ねてきた木々。
西石垣さんの手によって新たな形となったその木が、今度は誰かの暮らしの中で、また新しい時間を重ねていく。
そんなふうに、島の木が持つ美しさやぬくもりを、日々の暮らしの中で感じていただけたらうれしいです。
フォトライター:舘 幸子